1987年の楽器フェア(Wikipediaによると10月開催)にて参考出品されたショー・モデルのBoogie。
時期的にはリイシュー・モデルのBG-600(Boogie)の販売が開始される1~2年ほど前になる。
一見すると確かにブギー・モデルだが、シャークフィン・インレイやネックと平行に配置された舟形ジャックプレートなど、明らかに歴代モデルとは違う異質な部分が多く見て取れる。
以下主にBG-600 (Boogie)との相違点。
- ヘッドの形状
- 特大Grecoロゴ(ショー展示時に目立つようにだとか)
- ブラス製ナット
- シャークフィン・インレイ
- Boogieロゴ無し
- ボディ・サイズ
- ボディ厚 43.5mmでBG800よりも厚め
- ボディ前面の肘が当たる部分にコンター加工
- ピックガードのブリッジ側に小さい角部分が無い
- オープンタイプのDRY-Sピックアップ
- ノブの素材と形状
- 舟形ジャックプレート
- トーン無し
- バランサー無し
- 3WAY ミニスイッチ
- ゴールドパーツ
プレート有りのボルトオン・ネック、ネック・バインディング、ヘッド側でのトラスロッド調整など、
BG800(Boogie)よりも製造年が近いBG-600(Boogie)と似た部分が多い。
ボディサイズはBG-600(Boogie)とも異なっており更に小振り(細め)。
他のシリーズと同様リバースヘッドでヘッド角が付けられている。
指板はローズウッド。ボディやネック素材は判別不可能。
ネックはかなり分厚い。
ブリッジはトレモロ仕様であってもおかしくない様相なのに、ここはブギー要素のハードテイルを選択している。
音は見た目に反してそれほどパワー感は無く、BG800(Boogie)と比べると音の深みが無い。
粒立ちもいまいち。ただBG800(Boogie)のようなくぐもった感じは無い。
3WAYのミニスイッチはブリッジ側2つのピックアップに関する物で、
一つはハムバッカーのシリーズ(直列)配線、一つはシングル(スプリット)配線、
そしてもう一つはパワーが有りつつ音が明瞭になった感じに聴こえるので、恐らくハムバッカーのパラレル(並列)配線と思われる。
バランサーは非搭載なので、シングルからハムへの細かな調整は出来ない。
カラーはボディ部分はメタリック・オレンジレッド、ネック部分はメタリック・ピンクだが、
初代オーナーさんはショッキングピンクであったと仰っているので、経年で退色したのかもしれない。
異質に思えるモデルだが、そもそもブギー製造の成り立ちは時代に合致したギターであったので、
80年代中期のハードロックやヘヴィメタル全盛期に流行ったスーパーストラトを意識した”スーパーブギー”が作られたのも腑に落ちる(この頃はもう生みの親である高野氏は関わっていないと思われるが)。
ただ元々ブギーと云うギターはギブソンとフェンダーを混ぜ合わせた仕様であったので、そこに更にディンキー要素を加えたことでごった煮状態に…。
当初はイベント用に遊び半分で作られたモデルなのかと思われていたが、
2023年になって1980年代中頃に作られたと思われるJackson Boogieの存在が確認され、
Jackson系スーパーストラトの仕様が垣間見えるこのギターも、もしかすると因果関係が有って作られたのかもしれない。
ショー・モデルではあるがシリアルナンバーがネックプレートに刻印されている(E87始まりなので1987年5月製造)。
楽器フェアではこのモデルと、市販されたBG-600(Boogie)に近いモデルが一緒に飾られていたようなので、このモデルはBG-600(Boogie)のプロトタイプという立ち位置では無いようだ。
Spec
3ウェイ・トグル・スイッチ
3ウェイ・ミニスイッチ